<Header>
<Author: 沈佺期>
<Title: 獨不見>
<Format: 七言律詩>
<Year: 1988>
<BookName: 唐詩三百首詳解  上卷>
<Translator: 田部井文雄>
<style: 現代文有假名>
<style2: 日本現代譯文附假名標注>
<TranslatedTitle: 獨不見>
<BookPage: 17>
<UsedPage: 1>
<Feature: 0>
<End Header>
<Poem>
盧家少婦鬱金堂，海燕雙棲玳瑁梁。
九月寒砧催木葉，十年征戍憶遼陽。
白狼河北音書斷，丹鳳城南秋夜長。
誰謂含愁獨不見，更教明月照流黃。
<End Poem>
<Translation>
慮家（ろか）の若妻（わかあ）がいる鬱金（うこん）の香（かお）りのする部屋（へや）には、べっこうで飾（かざ）ったうつばりがあって、そこには雌雄（しゆう）のつばめがともに住（す）みついている。晩秋（ばんしゅう）の陰暦（いんれき）九月（くがつ）、わびしく響（ひび）くきぬたの音（おと）が落（お）ち葉（は）をさそうころ、若妻（わかつま）は十年（じゅうねん）もの間（あいだ）、辺境（へんきょう）の守（まも）りについたまま帰（かえ）らぬ、遼陽（りゃうよう）の地（ち）にある夫（おっと）をはるかに思（おも）いやるばかり。

遼陽（りゃうよう）のあたりを流（なが）れる白狼河（はくろうか）の北（きた）、夫（おっと）からの便（たより）りは断（た）えはてて、ここ長安（ちょうあん）の町（まち）の南（みなみ）の若妻（わかつま）にとっての秋（あき）の夜（よる）はひとしお長（なが）く感（かん）じられる。いったい誰（だれ）が知（し）ろうか、思（おも）う人（ひと）に、自分（じぶん）ひとりあうことのできない愛（あ）いを含（ふく）む「独不見（どくふけん）」をかなでたり、若妻（わかつま）のわたしのみつめ続（つづ）ける明月（めいげつ）の光（ひかり）に、もえぎ色（いろ）の絹布（けんぷ）を照（て）らし出（だ）させるなどということがあろうとは。まことに非情（ひじょう）なのは、このきぬたの音（おと）と、明月（めいげつ）の光（ひかり）であることよ。
<End Translation>